MUSUPERUHEIMU

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第16話

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 「…ううん…」

 「あっフレイア気が付いた?平気?」

虚ろな意識の中、シルヴィおねーさんの声が聞こえる
僕は頭を軽く左右に振り意識をはっきりさせる

 「…おねーさん?あれ…僕は一体…」

混乱している記憶を整理するため僕は思い出そうとした

 「そうか…突然誰かに一撃をくらって」

僕は気を失っていたんだ

 「…つッ…!」

右脇腹に軽い痛みが走る

 「ああ気をつけて怪我というか痣自体は治ってるけど
  まだ精神的に細胞がびっくりしてるから
  ちょっと痛みが走るかも、でもすぐに治まるから」

 「あっはい」

僕は脇腹に気をつけながらゆっくりと立ち上がった

 「シルヴィおねーさんが治療してくれたんですか?」

 「ん~先に来てたのはホルスだから
  多分あいつが治療したんだと思うけど?」

僕は辺りを見渡す、周りには僕の倒した黒いシノワビートと
見覚えのない黒いシノワスピゲルの残骸が転がってただけで…

 「あれ?そのホルスさんは?」

 「ん~それが部下と合流するからとさっき走ってったんだけど…」

 「…どうしたんですか?」

 「…あいつなんか様子変だったのよねー
  ああいう時は大抵隠し事が…」

 「ははは…(苦笑)」

ホルスさん根が正直だから…

 「ん?」

その時ふとスピゲルの残骸の斬り口が目に入った

 「…これは…閃光斬の…」

 「あっやっぱり?」

 「…ん~ちょっと違うような…」

 「あれ?違った?」

 「いや閃光斬の斬り口には間違いないんですが…
  …ホルスさんクセ変わったのかなぁ?」

 「…クセ?」

 「ええ技の熟練度の良し悪しは別にしても技のクセというか
  結構、個人差があるんですよ誰の斬り口か解るくらいに」

 「………」

 「?どうしましたおねーさん?」

シルヴィおね-さんの表情が少しづつ変わっていく

・・・・・ガシャン・・!

 「うわっ!」

 「…あんにゃろぉ…」

おねーさんは怒りあらわに足元の鉄塊を踏みしめた

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 「アシュナ!アンタこの11年間何をしていた!」

ホルスさんは建物の上に立つ黒マントの男性に怒鳴る

 「…アシュナ様に向かってその無礼な口の聞き方はなんだ!?」

返ってきた声は女性の声だった

・・・・・・シュン・・・!

黒マントの男性の横に一人の女性が現れた
…耳が長い…ニューマン…かな?

 「貴様…仮にも弟子だったのだろう!」

 「…お前何者だ?アシュナの新しい弟子か…?」

ホルスさんは警戒をしながら現れた女性に話し掛ける

 「弟子だと?ハッ貴様のような奴と一緒にするな
  私は私の力だけでアシュナ様に仕える従者だ
  憧れだけでアシュナ様の真似しかしない貴様とは違う」

 「…なんだと?」

ホルスさんは声こそ荒げなかったがあからさまの侮辱に眉を潜めた

 「…黙れシャロン…口が過ぎる」

 「…!…も、申し訳ありません…」

女性は男性の後方に下がり跪く

 「…いったいこの11年間アンタに何があったんだアシュナ?」

 「…お前にはフレイアもシルヴィスも世話になった…
  確かにお前には聞く権利がある…」

 「それはアンタが側に居なかったからだ!」

 「…見ろホルス」

・・・・パサッ・・・・

黒マントの男性は顔を隠していた部分のマントをめくる

 「…?……なっ!?その顔は!?」

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